コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2014/07/1625 「ダメ意識」は子どもの大敵

日本の犬は概してキャンキャン、ワンワン鳴くのが通例ですが、ヨーロッパの犬はほとんど鳴かないそうです。

ところが、ヨーロッパの犬でも日本で生まれて育つと、キャンキャン、ワンワン鳴くそうです。
これはなぜでしょうか?

日本のペットショップで売られている犬は生後すぐに親犬から離して育てられますので、親のしつけを受けていません。
ヨーロッパのペットショップでは、最低2ヶ月は、親犬と一緒に育てるそうです。
そしてその間、親犬は子犬をしつけるそうです。
これは犬の話ですが、家庭教育の大事さを再認識しました。
人間の場合は、14、5歳で自我が完成しますから、それまでの子育てはとても大切です。

動物には「すり込み」期間という特別な時期があります。
オーストリアのローレンツ教授は、この現象を灰色ガンのひなを使って発見し、ノーベル賞を受賞しました。
教授は、生まれたばかりのガンのひなに呼びかけ、誘導するという実験を行いました。
するとひなは人間を親と思ってあとを追うようになります。
この行動が定着すると、親のガンのあとにはもうついていかなくなってしまいます。

この事実は、他の動物たちにも当てはまります。
ある一定期間に脳にすり込まれた行動や考え方、習慣を変えることは、とても難しいという事実。
これは子育てにおいても決して忘れてはならない重要な現象です。

これは少し強烈な表現ですが、アメリカ行動主義心理学の始祖であるワトソンは、
「自分に生まれたばかりの赤ん坊を預けてもらえ。
さえすれば、その子どもを凶悪な犯罪者にでも、偉大な弁護士にでも、育てることができる」
と言いました。

さて、ある調査によると「自分はダメな人間」と思っている小学校5年生は32%だったそうです。
長い人生がスタートしたばかりなのに、3人に1人は「ダメ意識」を潜在意識の中に持ってしまっているということになります。
「ダメ意識」が心にあると、自信がなくなっていき、無限の可能性の扉は開きません。
子どもの頃のデリケートな心に悪いイメージをすり込まないことは、とても重要です。

認めてほめて愛して、心から子どもを信じていくような良いすり込みが行われると、子どもにとっても、もっとも大切なものである自己評価が高くなり、自信・やる気・積極性・行動力・忍耐力が育ってきます。
—————————ロック(イギリスの哲学者)の言葉———————

生まれたばかりの人間の心はタブラ・ラサ(何も書かれていない板)であり、その上に経験によって知識が刻み付けられていく。
人は生まれながらの生得観念を持たず、全ての観念は生まれてから得られたものである。

コペル 代表 大坪信之