コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2014/01/59 努力する“心のあり方”をほめてあげましょう!(1)

「天才とは1%のひらめきと99%の汗である」
かのトーマス・エジソンの有名な一節ですね。

天才と呼ばれるイチローも、誰よりも練習することで知られています。
ダーウィンは名著『種の起源』を書き上げるまでに、何年も調査を実施して、同僚や指導者達と何百回となく議論を交わし、草稿を幾たびも書き直し、半生をかけてようやく実を結びました。
モーツァルトも、作曲家としては10年以上の苦しみを経てようやく、今日たたえられているような音楽を生み出すに至りました。
それ以前の作品には、あのような独創性も魅力もなく、他の作曲家のフレーズを借りてきてつぎはぎしたような曲ばかりだったのです!
努力を重ねて天才的な偉業を成した人々の例は、他にも例を挙げればキリがありません。

おわかりいただけたでしょうか?
天才と呼ばれる人々の偉業の陰には、必ず血のにじむような努力があったのです!

「あきらめずに努力できる能力」と「心のあり方」との関係について研究しているスタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック心理学教授は、中学校に入学する小学生の子ども達を対象に「心のあり方」と成績の関係を調査しました。
頭の良さは生まれつきだと思っているか、努力次第で頭は良くなると思っているかを尋ねて「心のあり方」を判定し、その後2年間にわたって、生徒たちの成績や行動を追跡調査した結果、ひとつの結論を導き出しました。

その調査で成績が落ちたのは、最初の「心のあり方」の評価で頭の良さは生まれつきだと考えていた子どもたちでした。
中学入学直後から成績が下がりはじめ、2年間にわたって徐々に着実に低下していったそうです。

一方、努力次第で頭は良くなると考えていた子どもたちは、2年間ずっと成績がアップし続けました!

生まれつきだと考えていた子どもたちは、成績低下の理由を「数学が苦手だから」と自分の能力をなじったり、「先生の教え方がうまくないから」と責任を転嫁したりする傾向がありました。

それに対し、努力次第と考えていた子どもたちは、同じような不安の中で、全力で課題と向き合って、やるべき事から逃げずに勉強に励んだのだそうです!

おわかりいただけたでしょうか?
自分の可能性を信じて努力し続けることが才能を花開かせるのですね!

「努力次第で能力は伸びる。
 自分にはそれだけの潜在能力があるのだから」
という「心のあり方」を持てるようになるためには、認めてほめてあげることが不可欠ですが、能力のみをほめることは逆効果になるそうです。

数百人の子どもたちを対象に行なわれた実験では、
「頭が良いのね」
と能力をほめられたグループは、新しい問題にチャレンジするのは避けて、簡単にできる問題しかやりたがらなくなってしまいました。

対して、
「頑張ったのね」
と努力をほめられたグループは、約9割の子どもたちが新しい問題にチャレンジするほうを選びました。

次に、なかなか解けない問題を出されると、能力をほめられたグループはおもしろくないと答えるようになりましたが、努力をほめられたグループはむしろ、難しい問題のほうがおもしろいと答える子どものほうが多いという結果になりました。

最終的に、能力をほめられたグループの成績は下がり、努力をほめられたグループの成績は上がったのです。

努力すれば能力が上がるんだと言うことを子どもに伝えて、潜在能力のスイッチをオンにしてあげましょう!

--------ゲーテ(ドイツを代表する文豪)の言葉--------

天才とは、努力を続ける能力のことである