コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2017/08/2029 マララ・ユスフザイに学ぶ”女性が教育を受ける権利”

女性が教育を受ける権利を訴え続け、2014年に史上最年少のノーベル平和賞受賞者となった17歳の少女、マララ・ユスフザイさんをご存知でしょうか?
今回は、彼女の言葉を紹介しながら、人間としての生き方、平和に対する考え方を学びたいと思います。

パキスタンとアフガニスタンで活動する、イスラム主義組織「タリバン」はイスラムの教えに反するとして、女性が教育を受けることに反対していました。
そこで、女子が学校へ通うことを禁止し、女子学校を次々と破壊します。

マララの生まれ育ったパキスタンのスワート渓谷は、タリバンの支配下にありました。
学校経営者であったマララの父親は、タリバンを批判する声をあげ続け、いつしかマララもテレビやラジオに出演したり、スピーチを行ったりしながら、反タリバンの活動を積極的に展開します。

マララさんは11歳の時、イギリスBBC放送のブログに「パキスタン女子学生の日記」を投稿し、恐怖におびえながらも暴力に屈することなく、勉強に取り組む決意を表明しました。

そして、このブログが欧米諸国で大きな反響を呼び、マララさんは教育の機会を奪われた女性達の希望の象徴になりました。

マララさんは世界各国のマスコミによって紹介され、各種の表彰も受けましたが、それによりタリバンの反感を買って、武装グループによる襲撃を受けることになってしまったのです。

タリバンは、自分たちを批判する人物を容赦なく殺害していき、ついにマララの殺害予告を出しました。
しかしマララは逃げませんでした。
マララはその時15歳でした。

下校中のスクールバスにテロリスト二人が乗り込み、「どの子がマララだ?」と聞きました。
答える間もなく、マララは左目のわきを銃で撃たれました。
隣席の級友二人も撃たれましたが、マララたちは奇跡的に一命をとりとめました。

タリバンは、女性が笑い声を上げること、白い靴をはくことを禁じました。
教育を受けるのは、もっての外でした。

マララは11歳の時から、パキスタンのラジオやテレビで、彼らの考えは間違っている、と主張しました。
どうして人間の基本的な権利を奪おうとするのか。
私たちからペンや教科書を取りあげても、考える力を奪うことはできないと。

マララは14歳で、国際子ども平和賞の候補にあげられました(2年後受賞)。
パキスタンで最初の国民平和賞も受賞しました。
そして、タリバンは少女が有名人になりすぎるのを危惧するようになったのです。

しかし、少女へのテロは、皮肉にも少女を国際的有名人にしました。

2013年7月12日は、マララの16歳の誕生日でした。
国連はこの日を、マララ・デーと定めました。
当日、マララはニューヨークの国連本部でスピーチを行ないました。

「本とペンを持って戦いましょう。それこそが、わたしたちのもっとも強力な武器なのです。ひとりの子ども、ひとりの教師、一冊の本、そして一本のペンが、世界を変えるのです」
「タリバンは教育や女性の力を恐れている。銃弾で我々を黙らせることはできない」

マララさんは最も危険な状況下で、少女が教育を受ける権利のために何年も闘い、若者であっても状況改善に貢献できることを示しました。

2014年、ノーベル平和賞受賞
マララは受賞において「この賞は、ただ部屋にしまっておくためのメダルではない。終わりではなく、始まりに過ぎない」と表明しました。

将来、コペルに通うすべての子ども達が、ノーベル平和賞を受賞するような、世のため人のためになる人格者達になってくれることを強く願っております。