コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2019/06/2070 子どもの脳を育てる習慣とは

諏訪東京理科大学共通教育センター教授の篠原菊紀先生は、10歳までの教育の重要性を主張されています。

頭の使い方は、前頭葉がほぼ完成する10歳までに基礎が決定され、その後12歳の時点で100%完成すると言われています。

人間は一般的に、9歳か10歳で世界を見る視点が大幅に変化し、それ以降は高度な抽象的思考を獲得していきます。

たとえば、物事を主観だけでなく、客観的に見ることができるようになったり、別の視点から見つめようと試み始めるのが、この時期です。

教育学や教育心理学の世界では、この現象は「10歳の壁」と呼ばれています。
そしてちょうどこの時期に、前頭葉の発達がピークを迎えるというのです!

脳は場所によって役割が違います。
前頭葉は、脳の他の場所で処理されてきた情報を、総合的に組み立てて出力するという役割を持っています。

その基礎になるのが、記憶や情報を一時的に活性化して結果を導く力です。
この力に特に関わるのが前頭葉46野。
トラブルを解決したり、うまく人を動かしたり、たくさんの仕事をこなしたりといった“生きる知恵”のようなものに直接リンクする部分が多い場所です。

そして、その前頭葉46野付近がおおむね完成するのがだいたい10.5歳頃だそうです。
だからこそ、10歳までの教育が重要なのですね!

篠原先生は、「前頭葉が10歳以降にうまく働いてくれるように、いかにいい刺激を与え、上手に成長させるか」が、一番大切なことであると唱えられています。

篠原先生によれば、前頭葉をきちんと成長させるためには、生活のリズムをきちんと整えることが何より大切だそうです。

生活リズムと脳には密接な関係があります。
規則正しい睡眠」「適度な運動」「規則正しい食事」。

この3つのことを篠原先生は、脳の成長に欠かせないものとして挙げています。
前頭葉の発達のためには、9~10歳までに生活のリズムができあがっていることが、最も大切だそうです!

朝日大学の中畑千弘教授も、勉強ができる子とできない子の差は、10歳までの生活習慣にあると言います。

中畑教授によると、勉強ができる子のお母さんたちにインタビューしたところ、「勉強しなさい」と言わない子が多いことがわかってきたと言うのです。

勉強ができる子供たちにインタビューしても、決して勉強が大好きで、毎日勉強しているというわけでもないようです。
それなのに、勉強ができるのです。

中畑教授によると、その秘密は10歳までに机に向かって、5分でも10分でも何かをするという習慣が身に付けることなのだそうです。

机に向かって長時間勉強することは、子どもにとっては最初は苦しいものです。
それを和らげてくれるのが習慣の力なのですね。

積み木でもぬりえでも、子どもが楽しくできることならなんでもいいのです。
それから徐々に、学習の要素を取り入れていくことが、学習の習慣づくりの近道だそうです。

ポイントは、お母さんがそばに居てあげることです。
「習慣」の力を活用して楽しく学習させましょう!