コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2019/05/2069 天才は遺伝だけではなく環境が決めている

一昔前までは、子どもの脳の中で遺伝的に決定されている部分は、もう変えることはできないという風に考えられていました。

しかし、近年の脳科学の発展により、子どもの持つ能力は、遺伝に左右されているわけではないということが、明らかになってきたというのです。

早稲田大学教授の池田清彦先生も、「一番いい時期に一番いい刺激を与えれば、子どもはきちんと育つ」と主張されています。

今回は、このように、環境が能力に与える影響について考えてみたいと思います。

たとえば、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、母親のお腹にいるときから大人になるまでの間に経験することで、さまざまなバイアスがかかり、一方は遺伝性の病気が発症するのに、もう一方には発症しないというような事例が報告されているそうです。

すなわち、その人を形づくる要素は、遺伝子だけに限らず、環境の刺激も大きく関わってくる、というわけなのです!

子どもの成長において、遺伝のみではなく、育つ環境がどれほど大切なのかということがわかる例をあげたいと思います。

人間は、生まれつき目が見えるものだと思っている人が多いが、実はそうではないのだと池田先生は説明されています。
光の刺激を与えられて、見ることを学習していくのだというのです。

つまり、ふさわしい時期にふさわしい刺激を与えなくてはいけない、というわけですね!

胎児期から小学校低学年にかけて、脳の構造と機能はだいたい決まるそうです。

その間の環境はもちろん大切ですが、なんでもかんでも小さいうちに教え込まなくてはならない、というわけではないと池田先生は主張されています。
「できる子」とは、基本的なことをとてもよくわかっている子のことだそうです。基本がわかっているということは、応用ができるということですからね。

時期を逃さないようにと、急ぎすぎて詰め込み教育になってしまっては、元も子もありません。
あまり焦らずに、適切な時期が来たらそのときに必要な教育だけを施してあげましょう。

筑波大学名誉教授の村上和雄さんは以下のように語っています。

遺伝子のレベルで見るかぎり、人間の遺伝子は、誰のものでも99.9%が同じです。
天才と言われている人と、ふつうの人の遺伝子の差も、せいぜい1,000に1つくらいの違いでしかないのです。

つまり、人間の能力は誰も似たようなもので、ほんのわずかな部分で個性が表現されているにすぎないのです。

言い換えれば、誰にだって天才になれる可能性があるということですね。