コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2021/01/2089 世界で注目される「内向型人間」の知られざる力

「子どもに友だちが少ない」
「社交的でない」
「コミュニケーションが苦手」…。

こんな悩みを抱いていらっしゃるお父さんやお母さんは、少なくないのではないでしょうか。

近年、各界において「内向型の人々」への注目が集まっています。

彼らの社会を動かすパワーを重要視して、学校教育のあり方を見直すべきであるとの意見もあるほどです。

内向型の子どもも、外向型の子どもも、それぞれに違ったすばらしい能力を秘めています

分析心理学の祖であるスイスの心理学者カール・ユングのタイプ論によれば、「内向型」と「外向型」の違いは、心のエネルギーのあり方にあるといいます。

外向型の人は、社交的なかかわりによって活力を得ることができます。
対して、内向型の人は社交的なかかわりによって活力を消耗してしまうのです。

周りを見回してみても、心当たりがあるのではないでしょうか。

仕事で疲れているとき、同僚と盛り上がってリフレッシュする人もいれば、飲み会なんて余計疲れてしまうという人もいます。

部屋で静かに読書をしていると休養になる人もいれば、一人で閉じこもっているなんて余計に気がふさいでしまうという人もいるでしょう。

つまり、どのようにエネルギーを回復/消耗していくか、という点が異なるのです。

内向型の人は、社交的なことでエネルギーを消耗してしまう代わりに、一人で技術や思考を極めたり、クリエイティブな発想を生み出したりすることが得意な傾向にあるといわれています。

21世紀はAI時代の到来により、今まで以上に人間の思考力やクリエイティブな発想が重視とされるようになります。

クリエイティブ思考やリーダーシップが求められる仕事において、内向型の人は優れた結果を残す傾向にあるという研究が示されています。

一方で強調しておきたいのは、内向型が外向型よりも優れているわけではなく、その逆でもないということです。

社会に散見される「子どもは活発で社交的な方がよい」という固定観念に警鐘を鳴らすために、今まで見落とされがちであった内向型の特徴に焦点を当てさせていただきました。

内向型や外向型、それぞれの特徴を少しずつ持った多種多様な人々が協働していくことで、どちらかのみでは成し得ない新たな価値の創造が実現できるのですね。