コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2022/09/20子どもが持っている心理を見分ける能力とは

たいていの大人は本当の笑顔と偽の笑顔を持っていますが、実は最新の研究で、乳幼児はすでにその笑顔が本物か作り笑いなのかを見抜く能力があることがわかりました。

この能力は社会生活を送る上で必須の能力であるので、成長期の早い時期に形成されるということです。

イギリスとドイツの発達心理学研究チームによると、本物の笑顔か偽物の笑顔か判別することはとても大切で、社会に出たときに適切な相手を選ぶ能力に繋がるといいます。

本物の笑顔を見せてくれる人はより自分に協力的で、自分をだまそうとしない人だと認識するためなのだそうです。

研究チームは2歳から5歳の170人近くの子どもを対象に5つの研究を行いました。

その結果、子どもは成長するにつれいろんなタイプの笑顔を見分けることができるようになり、ソーシャルスキル(社会的能力)と結びつくということが判明しました。

実験では、3歳児がどうやって本物の笑顔と捉えているのかその方法に注目しました。

実験中に視線を追跡する装置を使用したところ、彼らは本物の笑顔を見せている人を長く注視していることが判明しました。

これは彼らが無意識のうちに行っていることで、その理由は本人にも説明できないが本物と偽物の笑顔を見分けることができることを示しています。

2歳児にも同様のシンプルな実験を行いました。幼い子どもほど、2枚の写真を同じくらい見つめていたが、本物の笑顔を見分ける能力が表れ始めていることを示していました。

最後の実験では4歳から5歳の年長者が対象だった。写真を見せ、どちらの人物がより優しそうで、物を分けてくれそうか聞きました。

写真の人物は本物の笑顔と作り笑いをした双子でした。外見は同じように見えるが、子どもたちは、2人は性格は異なると答えた。1人(本物の笑顔)は自分の持っているシールを分けてくれそうだが、もう1人(偽の笑顔)は分けてくれなそう、と答えました。

子どもは本物の笑顔を見分けることができるだけでなく、社会的意味も見出すことができています。

ライプツィヒにある進化人類学のマックス・プランク学会の心理学者で、この研究の第一人者であるルイティング・ソング氏はこう述べています。

「子どもたちは本物の笑顔と社会性能力を結びつけ、このようなわずかなシグナルで、どのような相手と付き合うべきなのかその潜在的可能性を判断しているようです」さらにソング氏はこう続けます。

「人間は協力的な意図を示すシグナルを進化させてきました。それが笑顔なのです」

「簡単な実験を行うと、小さな子どもでさえ本物と偽物の笑顔を見分けることができます。さらに、その知識をソーシャルスキルに結びつけています。つまり、交流するのに好ましい人物かどうかを適切に判断する材料に使っているのです。」

ニコニコしているけどあの大人の人怪しそう。子どもの頃そんな直感が働いたことはないでしょうか?

心からの微笑だけが子どもの心に伝わるということですね。