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子どもへの体罰がもたらす悪影響とは

子どもへの体罰がもたらす影響とは
子どもと接していると思い通りになりませんので、ついつい叩いてしまうことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
カナダの大学教授が学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション」に「体罰は子どもに悪影響を及ぼすと科学が証明している」との記事を寄稿しましたので内容をご紹介させていただきます。
日本や諸外国の体罰の現状
非営利団体「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」によると現在、世界では53カ国で子どもへの体罰があらゆる場面で法的に禁止されています。
しかしそれでも、叩くと言う行為が、しつけの一環として世界中で行われています。
このウェブサイトでは、体罰の法的な扱い方を色分けした世界地図が掲載されていますが、日本は「一定の状況では禁止されている」と分類されています。
これは、日本では学校での体罰は学校教育法第11条で禁止されているものの、家庭や託児所、児童養護施設などでの体罰が法律で禁止されていないためです。
教授らは体罰の是非をめぐる議論は体罰が「必要かつ効果的」とする意見と「子どもに有害で子どもの人権を侵害する」とに分かれ、これまで熱く繰り広げられてきたと指摘しています。
しかし科学的な研究を根拠に、体罰は子どもに有害なだけだと結論付けています。
体罰がもたらす悪影響
カナダの医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル」(CMAJ)に発表された研究結果では「叩くことが子どもに良いと示した研究結果はない」と指摘しています。
一方で、体罰が子どもに悪影響を与えることを示唆する研究は多数あるようです。
1つはガーショフ准教授がコロンビア大学で研究していた2002年に発表したもので、それより前の62年間にわたる88件の調査を分析しています。
そこでは、体罰は身体的な虐待となる恐れがあり、また子どもの非行や反社会的な行動にも強いつながりがあると結論づけています。
そして、さらに拡大させた調査が2016年に発表されています。
13年間におよぶ75件の調査を分析したもので、そこでも、叩くことで子どもの振る舞いが改善された証拠は見つからなかったとし、逆に体罰が13種類もの有害な結果を引き起こすと結論づけています。
有害な結果には、攻撃性、反社会的行動、心の問題、親とのネガティブな関係などが含まれます。
体罰をせずに子どもを育てる親への支援
以上のことから、子どもや思春期の青年たちをしつけるために叩くという行為は決してするべきではなく、また肯定的な子どものしつけ方を親が実践できるように支援する必要があるといえます。
カナダでは国が「完璧な親なんていない」というプログラムを作成して無料で子育ての教育セミナーを開催しています。
デンマークでも「チャイルドナース」という資格を設定して、資格者による子育て相談の無料サポートを行っております。
コペルでも「ファミリーダイアログ」を用意し、より良い親子の関係性・子どもへの接し方について学べるようにしておりますので、ぜひ実践していただくことを祈っております!