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2021/05/10 脳の潜在能力を引き出す「聴覚記憶」の育て方とは?
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脳の潜在能力を引き出す「聴覚記憶」の育て方
記憶には、目に入ってくる情報を記憶する「視覚記憶」と、耳から入ってくる「聴覚記憶」の2種類があります。
同じ文章の情報を入力するとしても、視覚記憶の場合は、言葉を目で追うので、左脳的な刺激が多くなります。
それに対して、聴覚記憶の場合は、耳から入ってくる音が五感の刺激となるため、右脳を活性化させることができます。
さらに、右脳でキャッチした音声を左脳で言語に変換して理解する必要が生じるため、右脳と左脳をつなぐ回路がつくられていく幼児期には、聴覚記憶のトレーニングが非常に重要になります。
今回は、幼児期の脳の発達に大きな影響を与える「聴覚記憶」の育て方についてお話しします。
「繰り返しの刺激」で脳が活性化する
小さな子どもにとって、耳の記憶は非常に重要です。
乳児は、耳から入ってくる大人の会話や声かけから言葉を覚え、語彙を増やし、聴覚記憶の回路を開いていきます。
生後間もない時期に豊かな言葉かけを受けた子どもは、言語感覚や語彙力が優位に発達しやすく、聴覚記憶が得意な脳に育つといわれています。
脳は、繰り返し入力される情報を重要と判断し、長期間記憶するという特性を持っています。
何度も言葉豊かに繰り返すことで、優れた言語回路が開かれ、聴覚記憶の質も高まっていきます。
つまり、聴覚記憶を鍛えるためには、同じ文章・同じ言葉を繰り返し聞かせることがとても大切なのです。
聴覚記憶の質を高める幼児期の過ごし方
コペルでは、幼児期の聴覚記憶の質を高めるために、暗唱の取り組みを実践しています。
暗唱入門のポイントは、まずはご両親が読み聞かせてあげることです。
大好きなお父さん・お母さんの声を聞くだけで、子どもの心は温かく安らぎ、取り組みに対する楽しいイメージが生まれてきます。
耳からの情報は右脳を刺激するので、文字を目で見て暗記しようとするよりも、何度も耳からインプットすることで脳の回路が発達していきます。
耳からの記憶でイメージ脳を育てる
聴覚記憶の練習をした子どもは、右脳記憶が身に付くので、一度耳にしたことを忘れないようになります。
また、右脳の入力を左脳で出力する回路ができているので、鮮やかなイメージを描く豊かな想像力、創造的なひらめき力や情報処理能力も優位に発達します。
さらに、言葉豊かな聴覚刺激が十分に蓄積されているので、語彙力や言語能力も高くなる傾向にあります。
コペルの子どもたちを見ていると、暗唱入門で聴覚記憶のトレーニングをした生徒さんは、記憶力がぐんぐん高まり、その後の暗唱皆伝や論語の難しい文章も、すらすらと簡単に覚えられるようになります。
これは、イメージ記憶の能力が育ち、耳に入ってきた情報を脳に定着させる回路ができあがっているからです。
記憶のトレーニングは、記憶力だけでなく、イメージ能力や処理能力など、脳の機能を多面的に発達させているのです。