コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2021/09/2096脳の成長に2倍差がつく愛情の与え方

子どもにとって、お母さんからの愛情はとても大切な栄養です。

愛情が子どもの脳の発達を左右するということは昔から考えられてきたことですが、近年、脳画像の分析による興味深い研究が発表されました。

今回は愛情が脳の成長に与える影響をお伝えしていきたいと思います。

この研究は、米ワシントン大学医学部などの研究グループによって、米化学アカデミー紀要(電子版)に発表されたものです。

この実験では、調査開始時点で3~5歳の127人の子どもの脳の発達を、13~15歳の思春期になるまでの長期にわたって計3回のMRI(各時期共鳴画像法)で脳をスキャンして追跡調査を行いました。

結果は、前述の実験でお母さんが愛情深く子どもに接していると分析された子どもほど脳の海馬の発達が良いことがわかったのです。

海馬とは、学習や記憶と関係の深い脳の一部の器官です。

実験における母親のスコアが最高点クラスの子どもと最低点クラスの子どもの海馬の容積を比べると、実に二倍以上の大きさの違いが観察されました。

さらに特筆すべきは、就学前に冷たく子どもに接していると評価されていた母親が、就学後に接し方を変えて愛情深く接することができるようになっても、海馬の容積の差はあまり縮まることがなかったという点です。

つまり、海馬がどのような成長スピードで発達していくかという速度は、就学前(6歳頃まで)にほぼ決まってしまうというのです。

脳の発達の重要性は、単に学習能力や知性が向上することだけではありません。

心の豊かさや、思いやり、優しさ、コミュニケーションなどの分野にも、脳が十分に発達していることが深く関係しているのです。

私たちはこの研究結果を、子どもの将来を考えるうえで決して軽んじることはできません。

子どもにとって、お母さんの愛情はとても大切なものです。

お母さんの愛を、毎日の生活の中でたっぷりと伝えてあげましょう。

愛情を伝える言葉をかけたり、ハグをしたり、どれだけ子どものことを大切に思っているかということをゆっくりと伝えてあげましょう。

愛情を伝える行為は、多すぎるということはありません。

お母さんに愛されるという実感と安心があってこそ、子どもたちはのびのびと未来に向かって成長することができるのです。