2020/09/20 85 子どもの指先への刺激が脳の活性化につながる
巧緻性(こうちせい)とは、手先の器用さや、巧みに指先を使う能力のことですが、この能力を幼児期に鍛えることが幼児脳の発達に大きく影響し、子どもの知能を高めることが、脳科学の観点より判明しました。
ヒトがほかの高等哺乳類と決定的に違うのは、10本の指を自在に操ることができるということです。
指先にはたくさんの神経が集まり、脳に直結しています。
そのため、指先は「脳のアンテナ」「第2の脳」と呼ばれるほどです。
その指先の働きをよくすれば、脳を活性化するということは容易に想像できますよね。
指先へのさまざまな刺激を与えることで、この巧緻性を鍛えていくことが重要です。
幼児期の巧緻性の発達は、単に指先を巧みに動かせるだけではありません。
手の機能を充分に使い、成長した子どもは、さまざまな事柄に意欲的に挑戦しようとします。
また、できないことができるようになるまでの根気強さも身についていきます。
さらに、手先が器用に動く子どもほどCQ(知的好奇心)が高く、社会性でのコミュニケーション能力も高い傾向にあります。
幼児期には、強い筋力を必要とするようなパワー系の運動よりも、巧緻性を高めるような運動をすることが大切になります。
巧緻性を鍛える取り組みとしては、絵画、工作、折り紙、紐結び、ちぎり、ハサミの使い方、箸の持ち方、衣類のたたみ方、エプロンを後ろで結ぶ、風呂敷包み……などの、普段のお手伝いの中でおこなうようなことがその内容にあたります。
「家庭内での最高の幼児教育はお手伝いである」と言われる理由ですね。
脳によい指先の運動で大切なことは、
・両手を同時に使う
・指をすばやく動かす
・ふだん使わない指の動きをする
・指先の皮膚の感覚を鋭敏に保つ
ということだといわれています。
複雑な指の運動が脳を活性化するといっても、何も考えず、指を動かすだけでは脳は決して喜びません。
脳によいからという義務感でやっても、おもしろくないものはすぐに飽きてしまいます。
その点、絵を描いたり何かを制作したりするときには、物を作る喜びが伴いますから、脳は、指先の繊細な末梢神経と連動して、集中力を発揮し、大いに活性化します。
家庭内でも、手先を使った“少し複雑な遊び”をさせてあげるとか、一緒にお料理を作るとか、方法はさまざまですので、ぜひ実践してみてくださいね。