コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2020/03/2079 シナプスは楽しく学ぶ環境で作られる

ピューリッツアー賞の受賞作家ロナルド・コチュラックは「脳科学探検」という本を書いて、幼児期の学習の大切さを力説しています。

彼は、この本を書くきっかけは「子どもが非行に走ってしまう原因は何か?」と疑問を持ったことだと書いています。

そうして脳の研究に足を踏み入れることになり、暴力や犯罪の増加を抑えるために、特に重点を置かなくてはいけないのは、3歳までの時期なのだとしています。

この時期に適切な刺激を受けるかどうかで、その後の人生が変わってしまうというのです。

脳内にどのような変化が発生すると、人間は暴力を振るうようになるか?

それは、子どもが置かれている劣悪な環境が、暴力を増加させている原因だという結論で、研究者たちの意見が一致したとして、劣悪な環境とは、どのようなものであるかも詳しく書いています。

とはいえ、経験する事柄だけが、わたしたちの脳を形作るのではありません。

脳は思考によっても影響されます

科学者たちは、知的に活発な状態を保っている人の脳は、知的に怠惰な人の脳に比べて、神経細胞(ニューロン)間の接合部(シナプス)が最大で40%も多いことに気づいています。

神経科学者たちは、使わなければそれは失われる、と考えています。早い時期に良い学習をさせる早期教育の大切さが分かってきたと、この本は大いに述べているのです。

ただし、子どものシナプスを増やすための良い環境とは楽しく学ぶ環境のことです。

脳の第一人者と言われるウィン・ウェンガー博士は、子どもにできるだけ早い時期に、楽しく本を読む練習をさせようとすすめています。

読み、書き、計算が脳を活性化するとして、読み書き計算の完全な征服者になった若き日のアルバート・アインシュタインは、好運なことに、初期の段階で、遊びという形でそのスキルを学んだとしているのです。

アインシュタインは、叔父さんであるジェイコブが大好きでした。

少年時代、彼はその叔父さんから数学を学んでいたのです。叔父さんはある時、こんなふうに話しました。

「代数というのは楽しい科学だよ。名前も知らない小さな動物を狩りに行くんだ。だからそれをX(エックス)と呼ぶ。獲物を捕まえたらそれに正しい名前をつけるんだ」

この言葉がアインシュタインの心から一生消えませんでした。この一言が、数学や科学を難しい問題ではなくパズルやゲームのように楽しいものに変えたといわれます。

幼児期の楽しい体験が、その後の学ぶ力を育てると言うことですね!