幼児教育において何が有用か? – 東北大学 瀧教授とコペル代表の対談

東北大学 瀧教授とコペル代表の対談

コペルでは、子どもの脳の発達について、より医学的・科学的に解明するため、東北大学と共同研究を行っています。

今回は、共同研究を行っている脳医学の権威・瀧靖之教授(東北大学)をお招きし、コペル代表・大坪信之と「幼児教育において何が有用か?」について対談を行いました。

●目次
1:認知能力・非認知能力の相関関係
2:究極の勉強とは
3:イメージトレーニングの効果
4:自己肯定感の重要性
5:インタビュー動画

1.認知能力・非認知能力の相関関係

大坪 今回の共同研究ではたくさんの気づきをいただき、ありがとうございます。 特に「認知能力・非認知能力」というかたちのご指導をいただいておりますが、どちらも重要ということですよね。

 そうですね。国内ではテストで測れる「認知能力(IQ)」が重視されてまいりましたが、近年、特に欧米では、テストで測れない「非認知能力(知的好奇心、やり抜く力、主観的幸福度、困難を乗り越える力、コミュニケーションスキル、共感性など)」の方が重要であると、「非認知能力」が高い方が将来的な子どもたちの自己実現に重要だろうと言われ始めています。

大坪 今までは「早く正確に」というのが、社会が求める人間像でしたが、これからはロボットとAIの仕事になっていく。だから「0から1を作れる能力」を育てるのがこれからの教育になっていきますね。

 確かに、無から何かを作り出す「創造性(クリエイティビティ)」は、今はまだ私たちの方が能力は高いと考えられますし、そこに行きつくための「知的好奇心」こそが大事だと思います。

AIが人間をまさる時代が来ても、私たちはそこと戦うのではなく、違うところで能力を伸ばしていった方がいいわけです。

それにはまず「知的好奇心」、それが新しいものを創り出す「クリエイティビティ」につながると思います。

制作に夢中になる子ども

大坪 我々も「これは何だろう?」と思ったときに、瞳孔が30%開くという目の輝きを教材開発の目安にしています。

 なるほど、興味深いですね。子どもたちは興味を持つとすぐに集中してそういう表情をしますよね。まさに「知的好奇心」が刺激されている状況でしょうね。

大坪 瞳孔が開くのは年齢プラス1分間で、2歳児の場合は3分すると集中が切れてしまいます。なので、2歳児のレッスンでは3分以内に次のものを出すんですよ。

どこかに行くのは集中力がないからではなく、新しいものを探しているからだと捉えています。新しいものを出し続けようとすると、教材は2,000種類必要になるんです。

コペルで使用している教材

 よく脳科学では、子どもたちの脳の発達に大事なものは「環境の豊かさ」と言います。

たくさんの人とコミュニケーションをするとか、豊かな自然の中で過ごすとか、文化的な豊かさとか、そういったものと並んで、いろんなことを見せてたくさん刺激を与えるというのも「環境の豊かさ」の要因になるんでしょうね。

大坪 子どもは良質な刺激が好きですからね。公園に行って石をひっくり返してダンゴムシがいるだけでも瞳孔が開きますね。ああいう体験がすごく重要ですよね。

 そうですね。「知的好奇心」を伸ばすためには、様々な刺激がすごく大事ですし、「知的好奇心」を伸ばすことが、結果的に「学力(認知能力)」につながるという研究は非常に多いんです。

大坪 切り離して考えるというよりも両方が伸びていくというイメージですね。

 脳科学の世界からいうと、感情と記憶というのは密接につながっています。感情をつかさどる偏桃体と記憶をつかさどる海馬は物理的にも非常に近い距離にあり、かつ繊維連絡もあるため、感情と記憶は非常に密接なんです。

大坪 なるほどですね。

 いろんなことに興味を持っておもしろい、好きだと思うとそれは覚えられる、そして知識として入る。だから結果的に「認知能力」が伸びる

自己実現のためにはどうしてもある程度の学力が必要になりますが、その「学力」を伸ばすには「知的好奇心」を高めるのがいい。まさに両輪なんです。

大坪 まさにですね。ダンゴムシを見た子は図鑑でほかの昆虫を探したりして、どんどん広がっていきますよね。

2.究極の勉強とは

 子どもの頃に、より多くの情報(例えば図鑑や絵本)に触れることもすごく大事です。そもそも何かに興味を持つにはどうしたらいいかというと、「単純接触効果」といってたくさん見ている方がそのものを好きになります。

勉強でも同じで、例えば古典でも歴史の年号でも、早いうちに与えてあげると、小中高でそれが出てきたときに「昔やったことがある」と親しみが湧き、勉強と思わず記憶として入っていく、これが究極の勉強ですね。

大坪 我々は、赤ちゃんでも四字熟語や俳句をやるんです。言葉は元々歌でしたから、子どもはリズムがある言葉が好きなんです。いいリズムがある言葉を集めると、古典とか名文になるんですね。

 私、それは非常に素晴らしいと思っていまして、「気が付いたらいつの間にか頭に入っている」、これはすごく理想ですよね。私も子どもの頃図鑑が大好きで、図鑑じゃ飽き足らず、幼稚園の時に父の分厚い百科事典を読んでいたんですよ。

本を読む親子

大坪 さすがですね。

 好きでしょうがないから読んでいたら、当たり前のように「水金地火木土天海」が頭に入っていて、中学で習ったときに「これってあれだ」とすでに親しみがあったので、それだけで好きになるんですよね。

小さい時に四字熟語を与えてあげると、学校で習った時に何か知らないけど覚えている、国語が好きになる、いろんな科目に広がっていくという流れができ、素晴らしいと思います。

大坪 我々はカードで情報を与えているのですが、百科事典的に1万枚のカードがありまして、ありとあらゆるものを教えていきます。

ゆっくり説明しようとすると子どもはどこか行くので、早くめくって見せ続けるんです。

コペルのレッスン風景

 何でもそうだと思うのですが、「知っている」ということは一番の強みであり、好きになるきっかけなんですね。

本当に小さいうちから楽しく、何かわからないけど気が付いたら覚えている、勉強だと思う前に入れてあげるというのが究極だと思います。

大坪 楽しくいろんなものを教えるために歌も使うのですが、歌を覚えるとその概念が入るんですよ。

 これも素晴らしいなと思うのは、私たちの記憶は何かと結びつくと保持する力がさらに多くなり(連合記憶)、忘れづらくなります。覚えるための手掛かりが増えるということですね。

大坪 ほとんどうちの先生が作詞作曲していますから変な歌なんですけどね。それが逆に耳に残るんですよ。

 音楽やリズムや火は人の根源だと言われたりします。太古のシャーマニズムにしても祭りにしても、根源じゃないかと言われていますので、それと結びつけるというのは興味深いです。

大坪 実は我々、レッスンの前にろうそくに火をつけるんです。ろうそくの火は1/fに揺らいでいて、地球の波動である7.8Hzに同調していきます。

スポーツ選手がゾーンに入るのも同調の状態だといいます。地球の波動と一緒の時は絶好調だというんですよ。その状態を子どもの頃から経験していきます。

コペルのレッスン風景

 どうしても医学的にはわからないところに入っていきますけども、ただ炎を見ると集中するというのはよく言われますね。昔から言われていることは何か効果があるから言われるんでしょうね。

3.イメージトレーニングの効果

大坪 あとは、イメージトレーニングといったこともよくやります。「お母さんのお腹の中に入るよ」とか、「海の底に来たよ、クジラが通ったよ」とかですね。

 イマジネーションの方の「想像力」がつくのかもしれませんね。余談なのですが、私は何か物事を成し遂げるためには、それができている時のことを想像し続けることが大事だと思っています。

大きなことを実現しようと思うと、そのことをひたすら考え抜いて、すごくリアルに想像できるとうまくいくことが多いなという印象があります。

大坪 確かに、人間は一日に決断しているのは5%しかなくて、95%は「私ってこんな人間」というイメージが私らしい振る舞いを勝手にしているというんです。

ずっとイメージを繰り返していると、きっとそのイメージに近づいてたどり着くのではないですかね。

 余談ですが、私が医学部を再受験する時に、勉強はもちろんしましたが、リアルに「自分が医者になってこういうことをしていたい」ということをものすごく想像しました。

それが今になってみると、実現したきっかけになっているような気がします。「その道に行くのが自然だ」という不思議な感覚でしたね。

大坪 そう言われてみると、すごい人の小学生の時の作文はその通りに書いてありますね。イチロー選手や本田選手がそうですね。

手を上げる子ども

 何かをすごくリアルにイメージすると、次に考えることは「どうやったら到達できるか」です。

明確な目標ができると、次はどの階段をどうやって登っていくとそこに行くのかを考えるから実現しやすいのかなと思います。

大坪 それに向かう勉強はきっと苦痛じゃないんでしょうね。

 ゴールが明確に見えていて、自分は道を一個一個作っているとなると行きやすいですよね。そうすることが人生の自然な状態になるのだと思います。

4.自己肯定感の重要性

大坪 我々も否定的な言葉は使わないようにしています。だめだと思うとその通りになるので、とにかくほめ続けます

 今、私たちの研究でも「自己肯定感」に非常に着目しておりまして、「自己肯定感」をいかに高めるかこそが、いろいろなことを成し遂げるのに大事だと思っています。

自分自身を大切だと思えるから人を大切だと思えるわけです。子どもが自己実現するには、ひとつは「知的好奇心」、もうひとつは「自己肯定感」が大事です。そうすると「ほめる」ということに行きつく。

親子関係の良好さは脳の発達にも重要です。大人もそうですけど、人に褒められるという経験、ポジティブな声掛けをすることが非常に大事です。

先生と子ども

大坪 今回いろんなお話をお伺いいたしましたが、最後に「幼児期の重要性」についてまとめてお話しいただけますか。

 子どもたちはとにかく無限の可能性を持っていて、好奇心も記憶力も本当に旺盛なので、ひとりひとりの「知的好奇心」と「自己肯定感」をいかに伸ばしてあげられるか、この二つを私たち大人ができれば、子どもたちの自己実現につながって、結果的に社会・国の幸せにつながっていくと考えています。

大坪 世のため人のためになるような子どもたちが育っていくといいですね。

 子どもたちが自己実現をすることが、この国の幸せにつながると思います。

大坪 はい。本日はありがとうございました。

5.インタビュー動画

対談の動画 瀧靖之 × 大坪信之 幼児教育において何が有用か?(23:37)はこちら
※YouTubeが開きます

瀧 靖之 (たき やすゆき) Yasuyuki Taki
1970年生まれ。医師。医学博士。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター教授。東北大学加齢医学研究所 機能画像医学研究分野教授。東北大学東北メディカル・メガバンク機構教授。16万人の脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍している。著書『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』は、10万部を突破するベストセラーとなっている。

大坪 信之 (おおつぼ のぶゆき) Nobuyuki Otsubo
1963年福岡県生まれ。株式会社コペル 代表取締役。福岡大学人間関係論非常勤講師。 一般社団法人徳育学会会長。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。 幼児教室コペルの運営を通し、子どもの脳と心の発達について様々な研究に取り組み続けている。 著書『自己肯定感を高める最強の子育て』では、コペルのメソッドを公開し、すぐに実践できる家庭教育法を伝授している。

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