コラム 大坪信之のワンポイント徳育アドバイス

2022/02/20発達障害の偉人たち―彼らの脳に隠された特別な能力―

最近、テレビや書籍などで「発達障害」という言葉を耳にすることが増えました。

多くの方は、「発達障害」という言葉を聞いたことがあり、「注意力が低い」「落ち着きがない」「コミュニケーションが苦手」というようなイメージを抱いているのではないでしょうか?

確かにこれらの特徴は、間違いではありません。

しかし、発達障害が持ついくつかの特徴は、取り沙汰されがちなマイナスの側面のみではなく、多くの優秀な功績を残したプラスの側面を大いに有しています

その他の様々な個性と同じように、発達障害の方も優れた個性を持っており、その能力を行使する機会さえあれば唯一無二の価値を発揮することができる可能性を秘めているのです。

 

歴史に名を遺した偉人や「天才」と呼ばれる人々の中には、発達障害を有していたと言われている方が少なからず存在します

それは、発達障害のそれぞれの症状が持つ特徴をポジティブに活用する機会に恵まれたときに、彼らは多くの人には想像もできないような集中力や能力を発揮することができるからです。

高機能自閉症の人々は、非常に長い時間一つの主題に深く集中するという特徴を持っています。

ADHDの人々は、エネルギッシュ、感受性が強い、新規追求性がある傾向にあると言われています。

周囲の理解や適した環境があることで、発達障害の個性は大いにプラスに転じえるのです。

発達障害を有しながら、素晴らしい能力を発揮した人々の例をご紹介しましょう。

 

ミケランジェロ・ブオナローティ(1454~1564)

ミケランジェロは、イタリア盛期ルネサンスの彫刻家、画家、建築家として著名な芸術家です。

多くの精神学者や心理学者などが稀代の芸術家である彼について、自閉症の特徴を大いに有していたと報告しています。

彼は芸術にしか興味を示さず、仕事熱心なあまりにごく少量のパンとワインしか口にせず作業に集中していたと言います。

睡眠や休息もほとんどとらず、その熱中ぶりは周囲を圧倒するほどであったそうです。

主に社交的なかかわりから遠ざかっていたこと、反復的な行為を異常なまでに好んだこと、日常生活がままならないほどの芸術への専心などが、ASD(自閉性障害やアスペルガー障害などを含む分類)の特徴を強く示しているとされています。

 

アルバート・アインシュタイン(1879~1955)

ドイツ生まれの理論物理学者であるアインシュタインは、相対性理論などを提唱した業績により、「20世紀最高の物理学者」や「現代物理学の父」などと評されてノーベル物理学賞などの数々の賞を受賞した人物です。

彼は、数々の発達心理学者などからアスペルガー症候群であったと結論づけられています。

また、三歳頃まで言葉を話さなかったという学習能力の遅れの傾向から、学習障害や高機能自閉症であったとの報告もあります。

どの考察を鑑みても、多くの人とは異なる脳の発達を顕していたことは明らかなようです。

 

その他、ニュートン力学を確立したアイザック・ニュートン、発明王として著名なトーマス・エジソン、「ひまわり」などの絵画で知られるヴィンセント・ファン・ゴッホなど、発達障害であったと見なされている偉人は枚挙にいとまがありません。

現代でも、スティーブン・スピルバーグやトム・クルーズなどの著名人が、自ら発達障害を抱えていることを報告しています。

ここで紹介できた人々はわずか一握りですが、発達障害の人々の個性が輝く才能を秘めていることは、十分におわかりいただけたことと思います。

彼らの持つ特異な個性は、裏を返せば多くの人には真似することのできない卓越した能力となり得るということですね!

その能力を十分に発揮できる環境と周囲の理解があってこそ、彼らは素晴らしい功績を人類史に遺してきたのではないでしょうか。